ステンレスの流し台をピカピカに!キッチンの周りの錆を簡単に落とす方法
- 2016/10/26
- 掃除
『ステンレス』の正式名称は、『ステンレススチール(stainless steel)』です。
ステンレス鋼が登場した当初、業界では『不銹鋼(ふしゅうこう)』と呼んだことで、“錆びない鋼板”との間違ったイメージが定着してしまいました。
ステンレスという英語の日本語訳は、“錆びない”又は“錆び難い”、或いは“汚れのない”、“染みのない”、“清浄な”というものです。
一般的に使われるステンレス鋼は、鉄を主成分としたニッケル(Ni)とクロム(Cr)を含有する『オーステナイト系ステンレス鋼』です。
因みに、ニッケルとクロムの含有率が高いほど、『強度』、『硬度』、『耐食性』が増し、モリブデン(Mo)を含有すると更にその傾向が増します。
ステンレス鋼が錆び難い理由は、鉄に添加されたクロムと空気中の酸素が結合し、表面にごく薄い『不動態化被膜』という酸化被膜を形成します。
この被膜の厚さは100万分の3mmくらいの厚みですが、大変強靭な上に一度破壊されても周囲に酸素があれば“自ら再生する機能”を持っています。
ステンレスキッチンが錆びる主な原因
ステンレスが錆びる『原因』には、大きく2つの理由があります。
1つは『もらい錆び』で、もう1つはいわゆるステンレス自体の『腐食』によるものです。
(1)もらい錆び
判り易い例を挙げると、ステンレスシンクの中に“鉄製の物”を放置すると、鉄に錆びが発生しステンレスも錆びたように見えます。
また、水道水に混じっている微細な鉄分がステンレの表面に付着して、赤錆びとなって見えます。
詰まり、外観的には一見“ステンレスが錆びている”ように見えることがあります。
これらの赤錆びは、スポンジなどの擦り洗いや、粉末又はペースト状の研磨剤で除去すると、光沢を取り戻すことができます。
(2)ステンレス自体の錆
海岸近くでは、潮風に乗って運ばれてくる『塩分』によって錆が発生します。
これは塩に含まれる『塩化物イオン』による腐食現象で、不動態化被膜が塩化物イオンによって“局部的に破壊される”ことによって発生するものです。
なお、ステンレス鋼の特性として、成分中の『クロム(Cr)』と『モリブデン(Mo)』の割合が多いほど不動態化被膜が再生し易く、また耐食性も高い値を示します。
従って、塩害を受け易い地域では、ステンレスの種類を選択する必要があります。
軽い錆を落とすお勧めの方法
ステンレスの“軽度の錆”は、通常、“もらい錆び”が多いので、物理的な“擦り洗い”で解消できます。
クリーム状のクレンザーを用い、ウエスなどで表面を軽く擦り落とすと容易に錆が落ちます。
なお、錆が少し目につく場合は、更にクエン酸か酢酸(食酢)を浸した布で擦り落とすと良いでしょう。
ただ、金属タワシを用いて強く擦ると、却って表面に傷を付けてしまうので注意して下さい。
重度の錆を効果的に落とすには?
ステンレスの頑固な錆び落としは、トイレ洗浄剤などの『塩酸』を含む“強酸性の洗浄剤”を用いるのが有効です。
清浄剤をキッチンペーパー又はカット綿に含ませ、錆の部分に塗布します。
5分くらい経過した後、乾いた布などで拭き取ると錆が落ちます。
但し、強酸ですから放置時間が長すぎると、『酸焼け』することによって全体的に“黒ずみが”広がるので注意が必要です。
また、錆び落とし用のスプレーなども売られていますから、それで磨くのも良いかも知れません。
因みに、ステンレスの錆び落としをした後、付着している水分、薬剤、油などを綺麗に拭き取って下さい。
キッチンを綺麗に使いたい!気をつける事とは?
キッチンを綺麗に維持するために気を付けたいのは、乱暴に扱い“傷を付けない”こと、使用後に“水を拭き取る”こと、定期的に“水垢を取る”ことでしょうか。
(1)傷を付けない
ステンレス製の調理台やシンクは、硬くて傷がつき難いように感じますが、目に見えないくらいの細かい傷が付いているものです。
そのため、傷の隙間に汚れが埋め込まれて黒ずんだり、表面の酸化膜が部分的に欠損して錆の原因となったりします。
ステンレスの細かい傷を修復するためには、600番以上の目の細かい『水研ぎサンドペーパー』で研磨することをお勧めします。
磨いた後は“真っ黒な油汚れ”がでてきますので、『重曹(じゅうそう)』を水に溶かし全体に塗布してから拭き取って下さい。
(2)水気を拭き取る
ステンレスの表面に水分が残っている場合、その上に無造作に金属什器などを置いていると“もらい錆び”を誘発します。
従って、流しを使い終わった後は、速やかに表面の水分を拭き取り乾燥させるようにしましょう。
(3)水垢を取る
ステンレスを長く使っていると、どうしても表面に“白い汚れ”が斑点のように浮いてきます。
この原因は、水道水に含まれる『カルシウム(Ca)』、『マグネシウム(Mg)』、『シリカ(Si)』などの不溶性物質が原因です。
これを防ぐためには、こまめにクエン酸や酢酸(食酢)を用いて“酸洗い”することが大切です。
頑固に付着する落ち難くなるので、最低月に1度は行いましょう。
むすび
流しが綺麗だと“料理する”ことも、“後片付け”することも楽しくできます。
そのためには、“合理的な手入れの仕方”を理解することが大事なことです。
物理的な方法と科学的な方法の基本が判れば、決して難しいものではありません。