ピロリ菌を除去するまでの期間は?アルコール、コーヒー、喫煙はNG?
- 2016/10/13
- 健康
ピロリ菌は胃の中に生息していると将来的に胃がんを引き起こす原因になると言われています。
なので、健康診断や人間ドックを受けた際にピロリ菌検査をし、発見された場合は除去する方が年々増えています。
ただ、ピロリ菌を除去する場合は殆どの方が初めて行うはずです。
当然、除去の仕方や気をつけるべき点など、様々な不安を感じることでしょう。
そこで本記事では、ピロリ菌の除去の仕方や期間、および除去中の過ごし方などをわかりやすくまとめてみました。
これからピロリ菌の除去をされる方は一度目を通して置くことをおすすめ致します。
ピロリ菌とは?胃がんを誘発する事実が発覚した経緯
『ヘリコバクター・ピロリ』は、今から100年ほど前の1983年(昭和58年)、オーストラリア人によって胃の中に螺旋(らせん)状の細菌が生息すること確認され、併せて培養に成功しました。
それまでは、人の胃の中には強い酸性を示す『胃酸(塩酸)』が存在するため、“細菌が生息できる環境にない”と考えられていました。
しかし、発見された細菌は“特殊な酵素を産生する”ことで胃酸を中和し、胃の中に定着(繁殖)していたことが解明された訳です。
その約10年後の1994年(平成6年)、『国際がん研究機関(IARC)』によってヘリコバクター・ピロリが“胃がんを誘発する病原菌”であることが報告されました。
この発見によって2005年(平成17年)、発見者のウォレンとマーシャルの2人が『ノーベル医学・生理学賞』を受賞しています。
『ヘリコバクター・ピロリ』という名称は、“旋回する(ヘリコ)細菌(バクター)”という意味ですが、ピロリ菌は胃の幽門部(出口部)に定着するという特徴的な性質から、『幽門(ピロルス)』に因んで命名されました。
細菌の一般的な弱点は“乾燥に弱いことですが、ピロリ菌の場合はその上“酸素に触れると死滅する”ことが挙げられます。
ピロリ菌の大きさは、直径が0.5μⅿくらいで長さが2.5~4.0μⅿくらいで、数本の鞭毛(べんもう)を持っていて胃の中を移動しています。
ピロリ菌が引き起こす悪影響とは?
胃の粘膜障害は、胃酸などの『攻撃因子』と胃の粘膜を保護する『防御因子』のバランスが崩れることが要因と考えられます。
このバランスを崩す主な要因として、『薬物』や『心理的ストレス』などが挙げられますが、本来治療を目的とした“薬物の副作用”によって胃粘膜を損傷することがあります。
代表的な例では、非ステロイド系の解熱鎮痛薬である『アスピリン』は、胃粘膜の防御因子を減少させ直接的に胃粘膜に損傷を与えることが知られています。
また、ピロリ菌に感染すると、胃を守る粘液を減少させ“酸の攻撃を受けやすい”環境を作り、炎症や潰瘍を作る要因になります。
詰まり、ピロリ菌が胃壁に取り付くと“細胞を弱める毒素”を出し始め、“血液中の白血球が集結してきて”局所戦が始まります。
その結果、胃粘膜に炎症を起こして『胃炎』になったり、十二指腸の粘膜が破壊され『消化性潰瘍』になったりする訳です。
因みに、衛生状態が悪かった時代は、殆どの人がピロリ菌の感染者でした。
しかし、その後先進工業国では感染者の割合が減少してきています。
日本においては、1992年(平成4年)現在の40歳以上の感染率が70%以上であるのに対し、20歳代の感染率は25%程度と低くなっています。
詰まり、生活習慣や衛生環境の改善が貢献していると考えられます。
因みに、ピロリ菌が原因と考えられる疾病は、萎縮(いしゅく)性胃炎、胃潰瘍(かいよう)、十二指腸潰瘍、胃がん、MALTリンパ腫、突発性血小板減少性紫斑病(しはんびょう)、小児鉄欠乏性貧血、慢性蕁麻疹(じんましん)などです。
ピロリ菌を除去する方法と期間
『ピロリ菌』を除去する前に、先ずは『内視鏡検査』又は『造撮(ぞうさつ)検査』で胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの有無について検査を受けます。
但し、何れの場合も精度を上げるため、通常は2つ以上の検査を組み合わせて行います。
(1)内視鏡検査の場合(迅速ウレアーゼ試験、検鏡法、培養法)(2)内視鏡を使わない場合(抗体測定、尿素呼気試験、便中抗原測定) |
ピロリ菌の『陽性反応』が出た場合は、医師の指示に従って投与された『医薬品』を服用することになります。
基本的なピロリ菌の除菌方法は、“胃酸を抑える薬(1種類)”と“抗菌薬(2種類)”を“1日2回で7日間の連続服用”をしますが、1回目の除菌成功率は75~90%くらいといわれています。
全ての検査が終了したら、4週間経過後に再度ピロリ菌の検査を受け、治療結果を確認することになります。
除去期間中の過ごし方(アルコール、コーヒー、喫煙はNG?)
除菌療法を受けている間に“気になる症状”がある場合は、速やかに医師や薬剤師に相談してください。
そうでなければ、日常生活で特に注意することはありませんが、“胃の痛みや不調が続いている”ようなら、自主的に『飲酒』や『喫煙』は避けるに越したことはありません。
また、辛い物などの刺激物も避けた方が良いでしょう。
むすび
以上、ピロリ菌を除去する際、不安に感じるであろう点をわかりやすくまとめてみました。
万が一1回目で除菌できなかった場合は、再度7日間掛けて2回目に挑戦しなければなりません。
なお、その場合は、1回目の『抗菌薬』の内1種類を変更することになります。
因みに、2回目の除菌成功率は可なり高いようですから、落胆しないで必ず二次検査を受けるようお勧めします。