高齢者が貧血になりやすい原因と対処法!予防に役立つ食べ物はコレ
- 2017/3/18
- 健康
人を含む全ての動物には、血液中の『赤血球』の中に『ヘモグロビン』と呼ばれる蛋白質(たんぱくしつ)が存在しています。
ヘモグロビンという蛋白質は“酸素分子と結合する”性質があり、肺から取り入れた酸素を全身に運ぶ役割を果たしています。
『貧血』は、赤血球中のヘモグロビンの濃度が低下することによって起こり、いわば“血液が薄くなった状態”のことをいいます。
貧血の主な原因
貧血の原因は、内臓疾患や外傷などによる失血、赤血球の産生不足、赤血球の破壊などによって惹き起こされます。
貧血が起こる要因の多くは、徐々に且つ継続的に起こる消化器官や尿道などからの出血による場合で、これによって赤血球中の鉄分が減少し更に悪化を招来します。
なお、貧血状態に陥ると身体に必要な酸素を補うため、血流量を増やすことや呼吸数を増やすことで“酸素を賄う”ことになりますが、それによって激しい『動悸』や『息切れ』が起こる場合や著しい倦怠症状を呈する場合があります。
赤血球の産生には十分な“栄養素の供給”が不可欠ですが、様々な栄養素の中で特に『鉄』、『シアノコバラミン(ビタミンB12)』、『葉酸(ビタミンB9)』及び『エリスロポエチン』が重要といわれています。
これらの栄養素が欠乏すると“赤血球の産生速度や産生量が低下”したり、赤血球が変形して酸素の運搬能力が低下します。
また、稀に“赤血球の破壊”が貧血を起こす場合があります。通常、赤血球のライフサイクルは120日くらいといわれていますが、何らかの原因で寿命に達していない赤血球が破壊されることがあります。
この現象を『溶血性貧血』といいますが、赤血球中に含まれるヘモグロビンが“血清中に溶け出てしまう”ことによって起こります。
この現象が起こると“骨髄が赤血球の産生速度を上げても”、それ以上の速度で破壊が進みます。
高齢者の貧血の原因に多いのは?
高齢者の場合は、一般的に“加齢に伴う持病”を抱えている人が多いものです。
統計的には高齢者の貧血の割合は約10%といわれていますが、概して持病の症状に隠れて“自覚症状が乏しい”場合が多いといえます。
高齢者の貧血の原因の多くは『栄養不足』が多いといわれ、特に動物性の蛋白質を十分に補給する必要が唱えられています。
なお、高齢者の貧血の特徴は、造血機能は正常でも鉄分の不足による『鉄欠乏症貧血』が多いことです。
医療関係者によると、高齢者は食が細くなることで炭水化物、蛋白質、鉄などの栄養分が不足し、併せて鉄分の吸収を助けるビタミンCが不足していることが多いとの指摘がなされています。
因みに、貧血を判定する指標は“血中のヘモグロビン値”によりますが、男性の場合は13.0~16.6g/dl、女性の場合11.4~14.6g/dlとなっていますが、検査に当たっては特に飲食の制限はありません。
高齢者が貧血を起こした時の対処法
貧血は比較的女性に多く見られ疾病ですが、主な自覚症状としては『目眩(めまい)』、『立ち眩み』、『倦怠感』、『動悸』、『息切れ』などです。
女性に多く見られる要因は、“月経時の出血や不順”や“食生活の乱れや偏食”などが挙げられます。
月経がない男性が貧血特有の症状が出る場合は、定期検診などで“赤血球に係る検査数値の異常値”によるケースが多いといえます。
一方、高齢者になるほど貧血の症状が現れる疾病は、『癌』などの出血による場合が多く見られますが、特に『鉄欠乏性貧血』はその顕著な例に当たります。
基本的に高齢者であっても貧血の症状には際立った特徴がある訳ではありませんが、高齢者の場合は若干“顔などが青白く見えない”ケースがあります。
ただ、高齢者はどちらかというと心理的に“混乱したり”、“気落ちしたり”、“無気力になったり”といった傾向が見受けられることがあります。
このような心理的な影響によって、自律的な生活に支障が生じる場合もありますが、症状が徐々に進行する人の中には殆ど自覚症状が出ないことがあります。
因みに、高齢者においては『ビタミンB12(シアノコバラミン)』欠乏症による貧血は、往々にして『認知症』を疑われるケースがありますが、その理由はビタミンB12が神経機能や精神機能に影響を与える場合があるからです。
また、高齢者の場合は、特に『大腸』、『胃』、『十二指腸』などの異常によって“血液の喪失”が起こりやすく、出血によって排せつ物が“赤褐色~茶褐色を呈する”ことが多いとされています。
このような場合は、できるだけ速やかに医療機関で受診し原因を特定する必要があります。
貧血予防できる高齢者でも食べやすい食べ物は?
貧血予防で大事なことは、高齢者に限らず“バランスの良い1日3回の食事”であることはいうまでもありません。
特に高齢者の場合は“野菜中心の淡泊な食事”に成りがちですが、肉や魚及び卵などの“動物性蛋白質の摂取”によって『血清アルブミン値』と共に『ヘモグロビン値』が改善することが判っています。
詰まり、野菜や炭水化物中心の『粗食習慣』が栄養不足に陥る原因ともいえます。
なお、植物性食品に含まれる鉄分は『非ヘム鉄』と呼ばれる体内に吸収され難いものであるのに対し、動物製食品に含まれる鉄分は吸収されやすい『ヘム鉄』が多く、少量の摂取でも鉄の補給には効果的といえます。
また、鉄分の補給に際しては、『ビタミンC』と一緒に摂ると更に効果が上がるといわれていますので、食事の後にはできるだけ果物を食べる習慣をつけると良いと思います。
むすび
鉄分を補うために動物製食品を一生懸命に食べても、食事中や食後直ぐにタンニン酸が豊富な『緑茶』、『紅茶』、『コーヒー』を飲むと、折角摂った鉄分が『タンニン鉄』になって体外に排泄されてしまいます。
貧血が気にならない人は特に心配はありませんが、貧血で治療を受けている人は食後のお茶屋コーヒーを飲むことは控えて下さい。