余った刺身は冷凍保存できる?賞味期限と後日美味しく食べる調理方法
- 2016/10/7
- フード
大勢が集まるお食事の御膳には欠かせない「刺し身の盛り合わせ」。
特に年末年始は忘年会や大晦日、お正月など、イベントが多数ありますので食べる機会も増える事と思います。
さて、刺し身は生の魚なので鮮度が命。
だから仮に刺し身を食べ残したとしても自宅まで持ち帰ることはあまりないはずです。
お刺身をお客さんが持ち帰って食べ、万が一食中毒が起きた場合、行政処分を受ける恐れもあるのでお店も慎重に対応をしているはずです。
ただ、ご自宅でお刺身の盛り合わせが余った場合は話が別。
余ったからと言って、すぐに捨ててしまうのは勿体無いですよね。
では、安全かつ、美味しく後日もお刺身を食べるためにはどのように保存すればいいのでしょう?
そこで本記事では、余った刺し身の盛り合わせの保存方法や後日美味しく食べるための調理方法などをご紹介していきます。
刺身の豆知識
『刺身(さしみ)』は、生の魚介などを切り身にし、『醤油』などの調味料をつけて食べる日本独特の料理で、別の言葉で『造り』とか『お造り』とも呼ばれます。
新鮮な鳥獣や魚介の生肉をそのまま食べることは、人類の有史以来続けてきたことですが、その後の進化や環境変化に伴い、生食の習慣は廃れたり残ったりしたものです。
日本の地理的環境は、四方を海に囲まれ海洋国であったが故に、新鮮な魚介が手に入り易いという有利な環境に恵まれ、魚介の生食習慣が承継されたと考えられます。
元来、『膾(なます)』という料理は、魚肉や獣肉を細切りにしたものを調味料で和(あ)えたものですが、『なましし(生肉)』や『なますき(生切)』という言葉が転訛したともいわれています。
『さしみ』に関する記述が文献として残っているのは、1399年(応永6年)に著された『鈴鹿家記』といわれていますが、醤油が普及する以前は生姜酢、辛子酢、煎り酒など『なます』で用いられる調味料が使われていました。
因みに、『さしみ』という言葉は、『切り身』にすると“魚種がわからなくなる”ことから、魚の『尾鰭(おひれ)』を“切り身に刺して示した”ことに由来するといわれていますが、『切る』という言葉が『忌詞(いみことば)』なので『刺す』を使ったともいわれています。
余った刺身盛りは冷凍保存できるの?解凍後は美味しく食べられる?
『さしみ』に限らず、美味しさを保ちながら栄養分を損なわないためには、“酸化防止と菌の繁殖防止”が一番大切なことです。
そのためには密閉容器を使うだけでなく、“袋の空気を抜き取る”ことが肝心なことです。
最近は、家庭でも簡便に袋の空気を抜き取ることができる『真空パック器』が市販されるようになっています。
一方、魚介や野菜などの生ものを冷凍すると必ず“細胞膜が破壊され”、解凍した時には細胞内の『ドリップ(水分)』が出て味が落ちることが避けられません。
従って、真空パックに入れた刺身などの生ものは、『冷凍保存』ではなく『冷蔵』又は『チルド』保存の方が良いといえます。
因みに、市販されているジップロック袋は、ポリエチレン製で元々『通気性』がある素材です。
幾ら真空パックしても空気が抜けますので、酸化防止には余り適していません。
通気性のない素材の袋もありますので、興味があれば探してみてください。
解凍した『さしみ』は、仮に『サーモン』や『白身』であれば、味は少々落ちますが問題なく食べられます。
但し、『マグロ』の場合は、冷凍⇒解凍⇒再冷凍⇒再解凍を繰り返すごとに味が落ちていきます。
詰まり、『遠洋マグロ』は獲った直後に船内で-60~70℃に急速冷凍されます。
水揚げされた後は卸や仲卸を経て流通会社に引き取られ、スーパーなどで販売されます。
という訳で、店頭販売される頃には可なり味が落ちていることは否めません。
ただ、家庭で冷凍保存後に解凍しても、プロでない限り味の変化には殆ど気が付かないと思います。
“少しでも美味しく食べたい”と思われる方は、兎に角、ワサビ醤油で『漬け』にするか、或いは“熱を加えた料理”にすることをお勧めします。
刺身の冷蔵保存した場合の賞味期限は?食べられるかどうかの見分け方
『さしみ』を冷蔵保存する場合は、先ず切り身から血や汁が出ていないことを確認してください。
もし、出ていれば“ワサビ醤油に漬け”、翌日には食べてしまった方が良いです。
白身魚は赤身魚に比べ味が落ちませんが、血合いの部分から汁が出ていれば、やはりワサビ醤油に漬けるか、又は“火を通して”から食べることをお勧めします。
なお、『柵(さく)』で冷凍していたものであれば、柵ごとキッチンペーパーで包み冷蔵庫に戻してから、3~4日くらいは安心して食べられます。
因みに、食べられるかどうかの判断は“保存した時間”だけでなく、必ず自分の『嗅覚』と『味覚』で予め確認してください。
少しでも“変だな”と思ったら、潔(いさぎよ)く加熱調理して食べることです。
余った刺身を後日美味しく食べる調理方法
晩ごはんのおかずとして“スーパーの特売”で思わず買ってしまった『さしみ』は、賞味期限が残り少ないのは当然です。
しかし、残った刺身を捨てるのはもったいないですから、ペーパータオルで包み冷蔵庫で1日保管してから、翌日のおかずの『メインディッシュ』に仕上げるもの主婦の腕です。
(1)生姜焼き(生姜の甘辛ダレは、ビールのお供にも) (2)マリネ(バルサミコ酢と胡椒のピリ辛味で) (3)南蛮漬け(野菜を添えたピリ辛と甘辛味のハーモニー) (4)メンチカツ(赤身魚やイカなどを練りワサビの隠し味で) (5)竜田揚げ(ワサビ醤油の漬けを揚げるだけで簡単一品) |
むすび
以上、お刺身の盛り合わせを保存する方法と後日美味しく食べる調理の仕方などをご紹介しました。
関西では、フグ刺しのことを『テッサ』といい、フグ鍋のことを『テッチリ』といいます。
何故そう呼ばれるのか定かではありませんが、兎に角、忘年会は『フグ』尽くしです。
関東暮らしが長かった私にはフグの味はよく判りませんでしたが、飲み会のシメに出てくる『フグ雑炊』は絶品でした。
今年もまたじきにフグの季節がやってきます。