【八戸えんぶり2017】日程と駐車場情報!おすすめ鑑賞スポットは?
- 2016/12/9
- お祭り、行事
『杁(えぶり)』というのは、農作業で土を平らに均(なら)すためや、或いは穀物の実を集めるための、長い柄の先に横板を取り付けた“鍬(くわ)のような農具”のことをいいます。
また、『能』では、竹竿の先に横板を取り付けた“雪かきの用の小道具”のことをいいます。
えんぶりって何?歴史と起源
『八戸えんぶり』は、鎌倉時代の初めに“南部氏の祖”が奥州の地に来た頃に始まったと伝えられています。
奥州の地で迎える初めての正月に、南部氏の家臣たちが酒の勢いで乱闘騒ぎを起こしたので、機転を利かした農民(藤九郎)が“田植え歌を歌い、手に農具を持って踊ったことで騒ぎを収めた”という故事に起源するといわれています。
八戸を中心とする地域の『えんぶり』は、旧小正月行われる『予祝(よしゅく)芸能』として伝わったものです。
『予祝』とは、春が来る前に“農作業の所作を舞や踊りで演じる”ことで、秋の豊作が実現するようにと、“あらかじめ祝う”という意味です。
明治維新直後に、県が舞の所作が“物乞いに似たような行為”として禁止されましたが、1881年(明治14年)に八戸町の『長者山新羅神社(ちょうじゃさんしらぎじんじゃ)』の神事として再興されたという歴史があります。
1897年(明治30年)からは、『えんぶり行列』と同時に新羅神社の『神輿渡御(みこしとぎょ)』も行われるようになり、1909年(明治42年)から“伊勢神宮の祈年祭”に合わせ2月17日に改められました。
『八戸えんぶり』は、国の重要無形文化財に指定されていますが、『えんぶり』という呼称は田をならす農具の『杁(えぶり)』や『いぶり(揺すぶり)』に由来していいます。
なお、えんぶりで行われる所作は田を耕す農具の“杁(えぶり)を摺(す)る動作”に象徴されており、冬の間中眠っていた『田の神』を揺すぶり起こし、田に魂を入れ込むという儀式なのです。
因みに、八戸えんぶりは、杁(えぶり)を持った『烏帽子(えぼし)大夫』の3~5人を軸に、締太鼓、横笛、手摺鉦、鼓、三味線、尺八などの囃子方と、囃子舞の舞事や子供の踊り手など1組20~30人で構成されます。
八戸えんぶり・2017年の日程はと駐車場情報
これカッコイイなぁ。八戸えんぶりっていう伝統行事 pic.twitter.com/tCaQjeggT0
— ファムファムろこ (@cuma1970) 2016年3月18日
国の重要無形文化財の指定されている『八戸えんぶり2017』は、以下の予定で実施されます。
(1)期間:2017年2月17日(金)~2月20日(月) (2)会場:八戸市中心街(八戸市庁舎前市民広場など) |
会場周辺には多数の有料駐車場があります。
詳しくは下記地図で確認して下さい。
当然、なので、遠方から会場へ向かう際はスタットレスタイヤの装着は必須になりますし、温かい格好で行かないと寒くて全く祭りを楽しむ事が出来なくなります。
体調を壊さないよう万全の態勢で臨むようにしましょう。
えんぶりの演目は?
えんぶりの見どころは、舞手の大夫が“馬の頭を象(かたど)った”華麗な烏帽子を被り、大きく頭を振る所作を特徴とする独特の舞ですが、舞の意味は“種まきや田植えなどの動作”を表現するものです。(1)奉納摺り:えんぶり組が長者山新羅神社に集結し、えんぶり摺りを本殿に奉納する (2)えんぶり行列・一斉摺り:奉納が終わった30を超えるえんぶり組が、中心街で一斉に摺りを行う (3)御前えんぶり:市長など関係者の前で、7組の年番制で選ばれたえんぶり組が摺りを披露する (4)かがり火えんぶり:期間中の夜に市庁舎前広場にかがり火が焚かれ、摺りが披露される (5)お庭えんぶり:期間中の夜に旧財閥の邸宅(更上閣)の庭で、摺りが披露される |
えんぶりの種類は?
“えんぶりを舞うこと”を『摺り』といいます。
えんぶり摺りは、“種まきから稲刈りまで”の一連の農作業の流れを舞の所作で演じるものです。
(1)ながえんぶり
このえんぶりは、『ごいわいえんぶり』とか『キロキロ』とも呼ばれており、唄や仕草がゆったりとしていて舞の姿がとても優雅なものです。
主役を務めるのは『藤九郎』と呼ばれる大夫で、被る烏帽子には深紅の牡丹の花をあしらい、手には田畑を耕す鋤(すき)の柄を表す『鍬台(かんだい)』を携えています。
(2)どうさいえんぶり
どうさいえぶりは、ながえんぶりとは反対に唄も仕草もテンポが速く、勇壮でリズミカルなえんぶりです。
唄の合いの手に『どうさい』と掛け声が掛かるのが特徴といえます。
烏帽子には“五色の房”が垂れ、『ジャンギ』という金具がついた棒を手に持っています。
楽しむための豆知識と観賞スポット
『えんぶり』を楽しむためには、えんぶり組の構成や一連のストーリーと、舞の所作の意味を理解すると良いかも知れません。その一連の流れは、大まかに『摺りはじめ』、『中の摺り』、『摺り納め』の三つの神事的儀礼な要素から成っています。
また、その三つの舞の合間に行われる『松の舞』、『えびす舞』、『えんこえんこ』、『大黒舞』などの祝福芸も楽しみの一つです。
因みに、えんぶりの期間中は、更上閣における『お庭えんぶり』と八戸市公会堂における『えんぶり公演』の有料観覧チケットが『八戸コンベンション協会(TEL:0178-41-1661)』で販売されています。
むすび
『八戸えんぶり』は、芸術的価値が高い『予祝芸能』として1971年(昭和46年)に選択無形民俗文化財に、1979年(昭和54年)に国の重要無形民族文化財に夫々指定されています。
都会のお祭りですら維持していくのが困難な昨今、地方都市における貴重な無形文化財を保存していくための具体的な方策が、どうなっているのかとても気掛かりです。