潮干狩りで採れる貝の見分け方!正しい持ち帰り方と保存方法
- 2017/2/11
- アウトドア
『潮干狩り』は、潮が引いた干潟(ひがた)で熊手などを使い“砂泥(さでい)を掘って貝を採る行為”のことをいいます。
砂泥の中に潜っている貝の仲間は、ハマグリやアサリのような『二枚貝』といわれる種類です。
この二枚貝は『食用』に供されるものが多く、一般的に砂抜きしただけでそのまま食べることができます。
二枚貝のことを英語では『クラム(clam)』といいますが、アメリカ東海岸発祥の『クラムチャウダー』というスープ料理の材料名で知られています。
アメリカでは、クラムチャウダーの材料として主に『ホンビノスガイ』が使われますが、日本では『ハマグリ』などが使われています。
貝に関する豆知識
貝類は、砂浜だけでなく磯浜の岩礁(がんしょう)に定着しながら生息する『カキ』や『ムール貝』などの『巻貝』といわれる仲間を含め、海岸沿いには大量に生息していて比較的容易に採取できます。
そのため、有史以前から世界中の沿岸地域で食用とされ、日本でも“縄文人の貝塚”が海岸近くの至る所で発見されています。
現在では、海岸近くの浜辺だけに生息する貝のみではなく、海底深くに生息する『ホタテガイ』や『シャコガイ』などの比較的大型の貝も食用に供されています。
二枚貝は、うまみ成分が豊富で鍋料理やスープの出汁になるほか、焼く、蒸す、炒めるなど色々な調理法に適しています。
因みに、ハマグリの貝殻からは“白の碁石”や“白い顔料の胡粉(ごふん)”、牡蠣(カキ)の貝殻からは“牡蛎(ぼれい)という漢方薬”、一部の二枚貝からは『真珠』が産生されるなど食用以外にも利用価値があります。
潮干狩りができる時期はいつ?
海面の水位(潮位)は、約半日ごとにゆっくり“満ちたり引いたり”して変化します。
この変化を『潮汐(ちょうせき)』といい、その原因は主に“地球に及ぼす月の引力”と、地球と月が“太陽の周りを回転するために生じる遠心力”を合わせた『起潮力(きちょうりょく)』によるものです。
地球に対して月と太陽が直線状に重なった時、月と太陽の起潮力が重複され満潮と干潮の差が最大化する現象を『大潮(おおしお)』といます。
一般的に、日本近海では干満差(潮位差)が最も大きくなるのは春と秋といわれていますが、実際には夏と冬の方が大きいとの論文報告がなされています。
潮干狩りに最適なシーズンは、4月から5月に掛けた時期が望ましいといえます。
その理由は、水に浸かっても寒くないこと、お昼の時間帯に引き潮を迎えること、産卵期前のアサリが養分を蓄え美味しい時期であること、などです。
また、海水温度が20℃を超えてしまうと、急激に“二枚貝の貝毒が増える”ため、その面からも5月中旬までが最適といえます。
潮干狩りで採れる貝の種類と見分け方
潮干狩りで採った貝を見て直ぐに判るという人は、そう多くはないと思われます。
実は、潮干狩りで採れる貝の種類は意外と多いですが、見慣れない貝は食べられるものなのか多少心配になります。
そんな時は、後学のため図鑑などで調べて見るのも良いかも知れません。
因みに、潮干狩りで良く取れる貝は、以下のようなものです。
(1)アサリ
アサリの大きさは4cmくらいで、貝殻の蝶番部分から周縁部分に向かって放射状に細い色違いの筋が走っています。
(2)ハマグリ
貝殻の表面は全体的に滑らかで大きさは8cmくらいです。
色は褐色から黄褐色系統で多彩な模様が特徴です。
(3)ホンビノス
大きさは10cmくらいで、貝殻の色は全体的に白っぽい色調をしています。
形はほぼ円形ですが、大きな貝ほど長円形を呈します。
(4)バカガイ(アオヤギ)
大きさは10cmくらいで、色は全体的に茶系統で放射状の筋に特徴があります。
(5)オキシジミ
大きさは5cmくらいで、貝殻の形はほぼ円形のものが多く中央部が膨らんでいるのが特徴です。
採れた貝はどうやって持って帰る?
潮干狩りで採れた貝の持ち帰り方を間違うと、美味しさが台無しになってしまいます。
“新鮮なままで持ち帰る方法”とは、どのようなものでしょう。
(1)貝の選別
潮干狩りを終えたら先ず貝の表面についている“砂を海水で洗い落とし”、貝殻の割れているものを選別して処分します。
(2)ぬめり落とし
出来れば水道水を用い、両手で貝を擦(こす)り合わせ、表面に付着している細菌類を落とす共にぬめりを落とし、しっかりと水切りをします。
(3)保冷
水道水で濡らした新聞紙で貝を包み、その新聞紙をクーラーボックスに入れ、その上に保冷剤を置きます。
貝の上手な砂抜きと長持ちする保存方法とは?
潮干狩りで持ち帰った貝は、食べる前に塩抜きが必要です。
ペットボトルに海水を持ち帰った場合は、それを使えば良いですが、もしなければ食塩を使って塩水を造る必要があります。
塩水の造り方は、約500mlの水に大さじ1杯の塩が目安です。
貝をバットに重ならないように敷き詰め、塩水を“ひたひた状態”まで注ぎ、新聞紙を被せて約3~5時間くらい放置すると完了です。
砂抜きの終わった貝を“網を敷いたバット”に重ならないように置き、新聞紙を被せて約1時間放置すると塩抜きが完了です。
砂抜きした貝を濡らした新聞紙で包み、そのまま『冷蔵保管』すると2~3日は美味しく頂けます。
なお、残った貝は『冷凍保存』しても数か月は大丈夫ですが、味や風味はやはり落ちてしまいます。
むすび
潮干狩りをする場合、場所によって“誰にも断らず貝を採る”と、地元の漁業権者に告訴され犯罪者になるケースがあります。
また、時間によって潮位の変化が起こりますので、岸辺から余り遠くまで沖に出ると、思わぬ事故に遭遇する危険性もあります。
潮干狩りに出かける前には“現地の情報を確認し”、家族団らん1日楽しく過ごしたいものです。