バリウムを飲んで便秘になった時の注意点と解消法|病院は何科に行ったらいいの?
- 2016/10/31
- 健康
通称、『バリウム』といわれる胃レントゲン検査で飲まされる“白いドロドロした液状の物質”は、正確にいうと『硫酸バリウム(BaSO4)』という化学物質です。
このバリウムは、造影剤などの医薬用に用いられる外、化学的安定性が高いため『塗料』、『プラスチック』、『蓄電池』など産業用の原材料として広範に利用されています。
医薬用に用いられる硫酸バリウムは、胃液(酸性)や腸液(アルカリ性)に溶解することがなく、また吸収されることもないので“毒性がない”とされています。
なお、硫酸バリウムの副作用として、薬物過敏による『ショック症状』や便秘による『消化管穿孔(せんこう)』などにより、稀に死に至るケースも報告されています。
一方、病院で胃レントゲンの検査を受けると必ず『下剤』を渡されます。
一般的に、下剤には“効き目が穏やか”で副作用の少ない『緩下剤(かんげざい)』と、“効き目が即効的”で腹痛などの副作用を伴う『峻下剤(しゅんげざい)』の2種類があります。
通常、バリウムを飲んだ時に処方されるのは『緩下剤』の方で、主に『酸化マグネシウム』や『クエン酸マグネシウム』などを主成分とした、『塩類(えんるい)下剤』といわれるものです。
この下剤は、マグネシウム塩の高い浸透圧によって体内の水分を集め、腸管内の水分量を増加させることで“便を柔らかく”するものです。
バリウムの白い便は検査後いつまでに出れば安心?
胃レントゲン検査の後に必ず『下剤』を渡されますが、普段便秘症ではない人が飲むと『下痢』が止まらなくなる場合もあります。
詰まり、“下剤をもらったから”といっても飲まない方が良い人もいる訳です。
因みに、バリウムを飲んだ後、排便する迄に要する時間は、当然個人差があります。
詰まり、数時間後に排泄する人もいれば、翌日或いは翌々日まで掛かる人もいます。
殆どの人は2~3日すれば便と一緒に排泄される筈ですが、特に“お腹の痛み”や“吐気”などがなければ、遅くとも5日以内に排泄されるようであれば問題はないでしょう。
バリウムが長期間出なくても体調は大丈夫?注意点は?
硫酸バリウム液には、水と一緒に『粘着剤』が添加されています。
そのため、元々腸壁に“引っ付きやすい性質”があることと、バリウムから水が抜けてしまうと腸管内で“固まってしまう性質”があります。
そうなると、最悪の場合は『腸閉塞』や『腸管穿孔』を起こす可能性がありますので、5日以上バリウムが排泄されない場合は、病院に行き医師に相談するのが良いでしょう。
バリウムを飲んだ後、“便秘にならない”ための注意事項がありますが、その前に先ずは“やってはいけない”ことを知っておきましょう。
それは、バリウムを飲んだ後に、キャベツやゴボウなど『不溶性食物繊維』が多く、消化し難い食べ物を控えることです。
それと、アルコールや辛い物やカフェインなど胃腸に負担が掛かるものを避けることです。
因みに、便秘の予防に効果的なことは、次のようなものです。
(1)水分摂取
通常、人は1日当たり1~2リットルの水を飲みますが、バリウムを飲んだ後は何時も以上に水分の補給を心掛ける必要があります。
少し大変かも知れませんが、可なり意識して1日当たり1.5~2.5リットルの水を補給してください。
そして、水を飲む時のポイントとして、できるだけ多くの水を一気に飲むことによって、腸内のバリウムを押し流すようにして下さい。
(2)排泄効果の高い食べ物
バリウムが腸管内を滑り易くするため、『油』や『水溶性食物繊維』の摂取を心掛けることです。
水溶性食物繊維である『こんにゃく』、『寒天』、『ところてん』などは腸管内でバリウムと絡まり易く、排泄を促してくれます。
また、『オリーブオイル』、『ドレッシング』、『マヨネーズ』なども腸管内を滑り易くする効果があり、バリウムが詰まることを防いで呉れます。
下剤を飲んでもバリウムが出ない時、病院は何科に行けばいいの?
基本的に1週間を超えた便秘は、必ず病院で診察を受けるべきです。
ましてや10日を過ぎたような場合は、即入院を言い渡されることもあります。
便秘くらいと侮(あなど)っていると大変なことになるケースもありますので、バリウムを飲んだ後5日以上便秘が続いている場合は、一度病院を訪れることをお勧めします。
その際、診療科は一体何処を選んだら良いのでしょうか。
(1)消化器内科
一般的に思いつくのが、この診療科です。
胃、腸、肝臓、胆のう、膵臓などの消化器を治療対象とした内科ですが、中には『便秘』は専門外として扱っていない場合もあります。
予め、出かける前に電話で確認をとる方が無難かも知れません。
(2)胃腸科
この診療科は『胃腸』が専門ですから、概ね便秘の診察をしてくれるところが多いと思います。
なお、病院によっては『内科』と『外科』の片方しか診療していないケースもあります。
通常、便秘は内科が対象ですから、予め電話確認しておく方が良いでしょう。
(3)便秘外来
ここは『便秘専門』ですから、安心して行って良いと思います。
しかし、実態的には病院数は極めて少ないのが問題です。
基本的には、大学病院などの大きな施設があるところに限られていて、個人でクリニックを開業しているケースは稀です。
(4)総合病院
便秘の症状で“特に気になるもの”があれば、総合病院を選択するのも良いかも知れません。
詰まり、便秘の原因が他の病気の場合も考えられますので、他の診療科も対応しやすいメリットがあります。
むすび
最近の光学機器は、IT技術の進歩で非常に小型化が進んでいます。
胃の検査を受ける時には“少し怖い思い”がしますが、身体的な苦痛は殆どありません。
また、食道から十二指腸まで隈なく検査できるので、検査精度が非常に優れていますので、次回の検査から“バリウムを飲むのを止めて”、是非『内視鏡検査』に切り替えましょう。