電気毛布からも電磁波が出ている?人体への影響と軽減するための工夫
- 2016/9/2
- 健康
『電磁波』は、波長の長さによって色々な種類があり、夫々固有の特性を持っています。
電磁波の内、周波数が300万MHz以下のものを『電波』といい、取り扱いは『電波法』で規定されています。
電磁波というのは、普段の生活では気が付くことはありませんが、私たちの身の回りに溢れているのです。
また、私たち自身の身体から電磁波の一つである赤外線を出しています。
電磁波の中で最も波長の長い『電波』は、進行方向に対し多少の障害物があっても前に進むことができます。
このような特性から、主に『通信』や『放送』など長距離に及ぶ情報伝達に利用されることが多く、代表的なものに『テレビ』、『ラジオ』、『スマホ(携帯電話を含む)』、『無線LAN』などがあります。
また、最も波長の短い『X線』や『γ(ガンマ)線』は、エネルギーが大きいため障害物に吸収されて熱振動を発することがなく、『レントゲン写真』や『X線CT画像』に利用されています。
では、寒くなってくるとよくご家庭で使う「電気毛布」からも電磁波は出ているのでしょうか?
また、人体への影響等はないのでしょうか。
本記事では電磁波についての疑問点や人体に及ぼす影響などをわかりやすく解説していきます。
そもそも電磁波って何?
電磁気学的には、『電場』が変化すると『磁場』が変化し、磁場が変化すると電場が変化します。
詰まり、電場と磁場が相互作用によって発生する“電磁場の振動(波)”のことをいいます。
いい方を変えると、電磁波は、電気と磁気の両方の性質を持つ『波』のことです。
そして、電気の及ぼす範囲を『電場』といい、磁気の及ぼす範囲を『電場』といいます。
この電場と磁場が相互に影響し合うことで“電磁波という波”を作り出します。
一般的に、電磁波は周波数(1秒間の波の数)で表しますが、周波数によって呼び方が変わります。
因みに、電磁波の波長による分類は、波長の長い順に『電波』、『光』、『X線・γ線』に分類されています。
(1)電波
波長(注1)が“100μm以上”で周波数(注2)が“3THz以下”の電磁波を『電波』といい、その中でも波長域の違いによって、低周波、超長波、長波、中波、短波、超短波、マイクロ波と呼んで分類しています。
(2)光
波長が“1mm~2nm程度”のものを『光』といい、その中でも波長域の違いによって、赤外線(IR)、可視光線(VL)、紫外線(UV)と呼んで分類しています。
(3)X線、γ線
X線は、電子殻の動き(電子励起)から生ずる電磁波であり、γ線は原子核の動き(核内励起)から生ずる電磁波です。
大雑把に、波長がやや長い“10nm以下”をX線といい、波長がごく短い“10pm以下”をγ線といいます。
(注1)波長の単位:μm=1×10-3mm(マイクロ)、nm=1×10-6mm(ナノ)、pm=1×10-9mm(ピコ)
(注)2周波数の単位:1,000Hz=1KHz(キロ)、1,000KHz=1MHz(メガ)、1,000MHz=1GHz(ギガ)、1,000GHz=1THz(テラ)
電磁波が人体に与える影響は?
結論から言うと、“できることなら避けた方が良い”ということです。
高圧送電線からでる低周波による健康被害や、X線などの照射量の規制の例が上げられます。
従って、意図的に近付くことは避けた方が賢明だといえます。
但し、普段の生活の中で意図的に避けることは、頭で考えるほど容易ではありません。
詰まり、家庭で使う電源(AC100V)は、冷蔵庫、掃除機、携帯電話、テレビ、パソコンなどスイッチを入れると電流が流れ、必然的に電磁波が発生するのです。
電磁波の強さは、“発生源からの距離の2乗に反比例”して拡散する性質があります。
従って、家電を使う場合は身体に密着させないように注意し、数十センチ離して使うようにしましょう。
また、妊婦や小さい子供のいる家庭は、高圧送電線や変電所から離れた場所に住まない方が良いです。
因みに、電磁波による一般的な影響は、次のようなものです。
(1) 刺激作用
100KHz以下の極めて強い『低周波』に晒されると、体内に電流が流れ『ビリビリ』とした刺激作用が知られています。
(2) 熱作用
100KHz以上の極めて強い『高周波』に晒されると、体温が上がります。
この原理を応用したのが、『電子レンジ』です。
従って、携帯電話基地局や放送局が発射する弱い電波に長時間暴露されると熱作用が現れるケースがあるため、発射する電波が基準値を超える場所には立ち入ることができないように柵が設けられています。
また、携帯電話などは、予め『電波防護指針』の基準をクリアしている機種しか販売できません。
(3) 健康リスク
電波による『健康リスク』とは、電波を受けることによって“健康被害を受ける見込み”或いは“その可能性”をいいます。
現状では“特定の疾病との因果関係”が立証されたケースは殆どなく、2011年(平成23年)WHO(世界保健機構)の報告では、携帯電話による『聴覚神経腫瘍』の発症を高めることを示す“限定的な証拠”について報告されています。
電気毛布からも電磁波が出ている!?
『電気毛布』は電気を使いますから、勿論、電磁波が出ています。
原則論から言うと、気になる人は“できるだけ使用を避けた方が良い”ですが、電気毛布から発生する電磁波で健康被害が出る可能性は殆どないと思います。
どちらかというと寧ろ『低温火傷』が心配されるので、就寝前に温めて置いて布団に入ったら“スイッチを切る”という使い方をお勧めします。
最近、『電磁波症候群』という話を聞くことがありますが、“過ぎたるは及ばざるがごとし”という諺(ことわざ)の通り、この世からもし電磁波が無くなったとしたら、逆に人間は生きていけないことになります。
人体への影響を軽減するための工夫
残念ながら、人間は電磁波から逃れる術はありません。
太陽が発する紫外線や、宇宙から降って来る放射線から逃れることもできません。
また、電気を使わない日常生活は成り立ちません。
しかし、やはり身体に影響があるリスクは出来るだけ、避けるに越したことはありません。
(1)携帯電話
通話が聞き難くない程度、3cmくらい離すと良いでしょう。
脳細胞への影響を考慮すると、出来ることなら子供に携帯電話を使わせるのは、控えた方が良いかもしれません。
(2)家電製品
*電磁波対策が取られていない電気毛布や電気カーペットは、特に幼児のいる家庭での使用は避けた方が良いです。 *モーター容量の大きいドライヤーも、離して使うように注意しましょう。 *テレビは、1m以上離れて見るようにしましょう。 *パソコンのモニターは、50cm以上離れて見るようにしましょう。 *冷蔵庫、電子レンジなどアース端子が付いている家電製品は、必ずアースを取りましょう。 |
結び
以上、電磁波が及ぼす影響や軽減するための工夫等をご紹介しました。
薬は病気を治しますが、時には副作用を発揮します。
電磁波も似たようなもので、生活が便利になる反面、身体に悪い作用を及ぼすことがあります。
従って、正しい知識に基づいて、正しく使うという態度が求められます。
これほど高度に発達した文明社会で暮らす私たちには、既に電磁波と一線を画して生活することはもはや望むことは出来ないので、一種の“割り切り”が必要なのかもしれません。