祭りの衣装の粋な着こなし方♪鯉口シャツとダボシャツの違いや帯の締め方をご紹介!
- 2017/2/13
- お祭り、行事
お祭りが多くなる季節。
見るだけではなく、実際に参加される方も多いはずです。
そして、お祭りに参加する場合は統一した衣装を着る場合が殆どです。
例えば、半纏や半被。周りの人から「あの人の半纏の着方ちょっと変じゃない?」なんて思われては折角の楽しいお祭が台無しになってしまいます。
そこで本記事では、お祭りの衣装の粋な着こなし方をご紹介していきます。
帯や鉢巻のかっこいい巻き方などもご紹介していきますので是非参考にして下さい。
「祭り」の言語は?意味や歴史をわかりやすく
日本語に『まつり』や『まつる』という古語があります。
暫くして中国から漢字が入ってきたことにより、それらに『祭り』、『祀り』、『奉り』、『政り』などの字が充てられました。
古語の『まつり』は『祀る』の名詞形で本来は“神を祀る”ことを意味し、或いは“神を祀る儀式”を指すものでした。
現在では、“祭り=祀り”、また“祀り=奉り”の同義語として使われています。
因みに、『まつり』に充てられた漢字の意味は、①祀りは、神や尊(みこと)に祈りを捧げること、②祭りは、命(いのち)、霊魂(れいこん)、御霊(みたま)を慰め葬儀をすること、③奉りは、“奉(たてまつ)る”とも読み、献上することや召し上げること、④政りは、祭祀(さいし=政治)を司(つかさど)ることです。
古代の日本では、祭祀を司る者と政治を行う者が一致する体制であったことから、政治のことを『政(まつりごと)』ともいいます。
当初は祭祀を行う場合、神霊に対して“供物や特異な行為”などを捧げ、儀式を行いました。
時を経て、祭祀の規模や範囲が大きくなってくると、行事全体のことを『祭り』と呼ぶようになり、宗教への関心が希薄になると共に“賑やかな行事のみ”が“祭りと認識される”ようになっていきました。
今では、祭祀と全く関わりのない『催事(さいじ)』や『イベント』も『祭り』と称しています。
因みに、“日本の祭り”を英訳すと、その内容によって『フェスティバル(宗教的な祭礼)』、『リチュアル(儀式や礼拝式)』、『セレモニー(儀式や式典)』などと訳されます。
祭りの衣装にはどんな種類がある?
祭りの衣装は、とてもカラフルで派手なものが沢山ありますが、中には『白装束(しろしょうぞく)』姿のお祭りもあります。
白装束とは、広義には“白っぽい衣服”のことをいいますが、狭義には『神主(かんぬし)』や『巫女(みこ)』などの神事を司る者が着るものや、或いは山岳宗教の『修験者(しゅげんじゃ)』が身に纏(まと)う単衣(ひとえ)のことを指しますが、四国霊場を廻るお遍路さんが着ているのも『白衣(はくい、びゃくえ)』といいます。
祭りの衣装の“最も基本的なもの”は、『シャツ』、『股引(ももひき)』、『脚絆(きゃはん)』の3点セットです。
ただ、祭りの“由来やその地域の伝統”などによって、必ずしも全てに共通したものではなく、夫々に違いや特徴があります。
因みに、『江戸前スタイル』の場合は、江戸時代の『大工さん』の衣装を踏襲したもので、概ね以下のようなアイテムになっています。
(1)鯉口(こいくち)シャツ
襟のない七分袖のシャツで前部をボタンで留める方式の肌着のことです。
袖口が『鯉の口』に似ていることに由来したもので、『肉襦袢(にくじゅばん)』とも呼ばれています。
(2)腹掛け
鯉口シャツの上に着るもので、大工さんがポケットに道具を入れたエプロンです。
『どんぶり』、『寸胴(ずんどう)』、『前掛け』とも呼ばれています。
(3)股引(ももひき)
鯉口シャツに合わせた細いパンツで、『又引き(またびき)』や『パッチ』とも呼ばれています。
(4)地下足袋(じかたび)
足の裏側がゴム底で指の部分が二股に分かれた屋外作業用の靴です。
つま先に力が入り易い特徴があり、“直(じか)に土の上を歩くための足袋”という意味で付けられた名前です。
(5)血止め(ちどめ)
江戸時代の飛脚や駕籠かきが長距離を走る時に、膝の下辺りに『うっ血防止』を目的として、“草鞋(わらじ)の余り紐”を固く結んだものです。
鯉口シャツとダボシャツの違いとは?
祭りの衣装で代表格は、『鯉口シャツ』と『ダボシャツ』です。
何れも“ユニフォームの上着”のようなものです。
鯉口シャツは、肉襦袢ともいわれるように“体にフィットした”もので、裾の部分は股引の中に入れ帯で締めるのが正しい着方です。
他方のダボシャツは、言葉通り“ダボダボした”シャツのことで、『ダボズボン』と合わせて穿きます。
なお、裾の部分はダボズボンの上に出して着るのが正しい着方です。
因みに、ダボシャツを着た場合は、腹掛けや『半纏(はんてん)』を着けることはなく、通常、祭りの会場に来る際に着ることが多いようです。
粋な帯の巻き方や鉢巻きの巻き方
祭りの衣装の必須アイテムを身に着けたら、いよいよ“祭り小物”でコーディネートします。
祭り小物を小粋に使いこなすことで、“鯔背(いなせ)なお兄さん”の見栄えが一段と上がります。
(1)はちまき
洗い晒しの“木綿の手ぬぐい”を使って、鉢巻きの先端がピンと跳ね上がった『喧嘩結び』できりりと締め上げます。
(2)手ぬぐいで半襟
法被(はっぴ)の首周りは、手ぬぐいを使って半襟代わりにします。
これで汗や埃で首周りの汚れを防ぎます。
(3)帯
できれば幅の細い『平ぐけ帯』を使い、昔の火消し衆に倣って『喧嘩結び』できりっと締めます。
幅の広い婦人用の『博多帯』を使う場合は、3枚に折り畳んで締めましょう。
(4)扇子
粋な姿には祭り小物の扇子が必須アイテムです。
必ず帯に挿し込んでおきましょう。
使う時には、半開きで使うのが粋というものです。
(5)煙草入れ
煙草を吸わない人も必携アイテムです。
背中の帯に差し込んであると祭りの衣装が引き立ちます。
むすび
『祭り』が付いた言葉に、“祭りのあと”と“あとの祭り”というのがあります。
前者は、“興奮から覚めた虚無感”を表現した慣用句で、後者は、“物事が機を逸して手遅れになった”ことを表現した言葉です。
何れにしてもお祭は“年に1度の非日常的な行事”ですから、致し方ないのかも知れません。