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かまくらの安全な作り方!ブロック型とドーム型を上手く造るコツ
- 2016/12/16
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『かまくら』とは、お椀を伏せたような恰好をした、雪で造った『雪洞(せつどう)』中に『水神(すいじん)』の祭壇を設けて祀(まつ)る『家』のことです。
この家(雪洞)造りは、豪雪地帯の秋田県や新潟県などに伝承された小正月の伝統行事となっています。
現在では、伝統行事で行われる雪洞に限らず、雪で造ったお椀型の家のこと自体を『かまくら』と呼ぶようになりました。
そんなかまくらをいざ作ろうと思ってもどのような工程で作業を進めていいのかわかりませんよね?
出来れば崩れない安全なかまくらを作り、子供たちを喜ばせたいものです。
そこで本記事では、かまくらの作り方を動画を交えてわかりやすく解説していきます。
お子さんと一緒に作る際には是非参考にして下さい。
かまくら造りの始まりは?何のために作るの?
今から800年ほど前の鎌倉時代の初期に、二階堂氏がこの地の頭領になった時に始めた『豊作祈願』の火祭りが起源とされています。
この火祭りは、京都御所で行われていた“古書などを焼いた左義長(さぎちょう)”という行事に倣(なら)ったものだといわれています。
左義長とは、その年に飾った『門松』や『注連縄(しめなわ)』などを燃やし、餅を焼いて食べることで病を除(よ)けるものです。
この行事のことは地方によって様々な呼び方がありますが、代表的なものとして『どんと焼き』とか『どんど焼き』と呼ばれるものです。
因みに、『かまくら』の語源は、雪洞の形が『竈(かまど)』に似ていることから『竈蔵(かまくら)』という説や、神の御座所を意味する『神座(かみくら)』から転じたという説があります。
現在のような形式が定着したのは、江戸時代頃といわれており代表的な『横手のかまくら』は420~450年もの歴史があります。
1900年代(明治末期)になってから、『左義長』の行事と『水神』を祀る行事が合わさって、更に子供の行事としてアレンジされてきました。
なお、“横手の鎌倉を有名にした”のは、1936年(昭和11年)に、この地を訪れたドイツの建築家『ブルーノ・タウト』が、子供たちのかまくら遊びを見て“まるで夢の国”と称賛したことが契機となりました。
そのことによって全国から観光客が押し寄せましたが、年々生活様式の変化と共に各個で造るかまくらが減少していき、次第に地域おこしの『モデルかまくら』を中心とした『観光行事』の色彩が強くなっていきました。
かまくらを造るのに必要な雪はどれくらい?
『かまくら』を造るためには、水分を含んだ雪でなければできません。
詰まり、北海道のような乾いた雪質ではできないのです。
『雪』というのは水が凍って『結晶化』したものですが、降ったばかりのふわふわした雪の『密度』は0.1くらいです。
詰まり、水の密度を1とするとその1/10に過ぎません。
ただ、雪は降り積もると自重で圧縮されますので、少し締まった雪になると0.3くらいになると思います。
科学的根拠はありませんが、『かまくら造り』に適している雪は湿り気が必要なので、恐らく密度は概ね0.5くらいが適当ではないかと思われます。
これを基に、かまくら造りに必要な雪の量を計算してみます。
高さ1m、幅1m、奥行き1mの立方体の容積は1m3ですので、密度0.5の雪の重さに換算すると500kgになります。
仮に、『幅1m』とすると、『深さ20cm』で『長さ2.5m』くらい掬い取ることになります。
因みに、かまくらの形を“高さ(半径)1mの半球型”にすると体積が約2m3となり、必要な雪の量は1,000kg(1Ton)程度になります。
ドーム型かまくら造りのコツ
ドーム型かまくら造りは、大雑把に“直径約1~1.5mの円柱”を造り、後で削り出しながらドーム型に形を整えると良いでしょう。先ず、メジャーを用いて雪面に1~1.5mの円を描きます。
次に、ひたすら雪を集めて円柱に積み上げていきます。
この時、できるだけ約20cm積み上げる毎に、均一にバケツで水を散布しシャベルで叩いて雪を固めます。
高さが約1mになったら、全体の形を見ながらスコップで少しずつ削り『ドーム型』に形を整えます。
形が整ったら、ドームの表面全体をスコップでしっかりと叩き、最後に表面全体に均一に水を散布します。
この状態で一夜放置し、固くしまった雪のドームに仕上げます。
翌日、ドーム中心に向かって直角になるよう、“長さ20cmくらいの木の枝”を全体的に10本くらい差し込みます。
これは、ドーム型かまくらの“厚みを均等に保ち”強度を確保するための目安とするものです。
準備が出来たら入口から掘り始めますが、入口の大きさは約50cmのアーチ状にすると良いでしょう。
始めは大きなスコップでどんどん掘り進み、木の枝先が見え始めたら小さなショベルに持ち替えて慎重に壁面を削り出します。
全部の枝先が均等に見えるようになったら、『ドーム型かまくら』の完成です。
ブロック型かまくら造りのコツ
ブロック型かまくら造りは、先ず幅約20cm、長さ約40cm、深さ約20cmの雪のブロック造りをします。このブロック造りには、プラスチック製の箱があれば便利です。
この時、雪に水を散布しながら、足で踏み固めてブロックを所定の大きさに切り揃えます。
因みに、直径1.5mの円周は約5mとなりますので、1段目に必要なブロックの個数は13個となります。
かまくらの高さを1.5m、ブロックの積み上げ段数を8段とした場合、1段毎に2個ずつ間引きしていくと合計51個になります。
ブロックの形は多少歪(いびつ)なので隙間や傾斜ができたら、雪で埋めたり高さを調整してください。
最後に、入口を開けると出来上がりです。
ブロック式かまくらは、中は空洞ですからブロック造りは大変ですが、後の穴掘りがないので楽です。
外面や内面の凸凹が気になるようでしたら、スコップで削って滑らかにして下さい。
むすび
子供が小さい頃に一度かまくら造りをして、角も立ちにお昼ご飯を食べさせた記憶があります。
元々雪など全く降らないところでしたので、泥や草塗(まみ)れのかまくらでした。
外観は丸で泥だらけの家です。
それでも、暫くは一仕事した満足感に浸ることが出来ました。
設計図を描き本格的なかまくら造りに取り組めたら、しんどいけどきっと楽しいことだろうと想像します。
そして、中で一晩止まれたら最高です。
ブルーノ・タウトさんが“まるで夢の国”といった言葉がぴったりです。