桜の種類は?お花見の由来と代表的な桜の特徴まとめ
- 2017/1/10
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『桜』は、春になると『白色』や『淡紅色』から『濃厚色』の花を咲かせる、バラ科スモモ属サクラ亜属に分類される『落葉広葉樹』です。
桜は、原産地が『ヒマラヤ』の近郊と考えられていますが、主に北半球のヨーロッパ、西シベリア、東アジア、北米大陸などに分布しています。
桜は、日本文化に馴染みの深い植物で主に『観賞用』とされていますが、果実の『さくらんぼ』以外にも『花』や『葉』は、塩漬けにして食用に供されます。
日本では、平安時代以降に『お花見』の対象が梅から桜にとって代わるほど、春の花の中でも取り分け特別な地位を占めています。
桜が日本のシンボルになった由来や意味
桜の花を英語で『チェリー(cherry blossom)』と呼ばれますが、近年は日本の影響もあり『サクラ(sakura)』と呼ばれることが多くなっています。
なお、桜の花は『国花』ではありませんが、多くの国家機関が『エンブレム』として使用しています。
このエンブレムは、『旭日章(きょくじつしょう)』といわれるものですが、その他にも単に『旭日』、或いは『朝日影(あさひかげ)』、『旭影(きょくえい)』、『桜の代紋(だいもん)』などと呼ばれており、国家権力の代表的な機関である『警察』や『自衛隊』などがこのエンブレムを用いています。
桜吹雪と言えば?
桜の散るさまを喩(たと)えて、『花吹雪(はなふぶき)』とか『桜吹雪』といいます。
さて、桜吹雪といえば、映画やテレビなどの時代劇で有名な“遠山の金さん”こと、江戸町奉行の『遠山金四郎』です。
毎回、お決まりの“幕府の役人と街の悪党どもが結託した悪事”を、お白州の上で見事に裁いて見せる決め台詞が、江戸弁の“この桜吹雪に見覚えがねえとは言わせねえぜ”というものです。
勿論、遠山金四郎は実在の人物であり、青年期の放蕩(ほうとう)時代に『彫り物』を入れたと伝えられています。
ただ、あの有名な『桜吹雪』については諸説があり、“左腕に花模様”、“桜の花びら1枚”、“背中に女の生首”、或いは“全身隈(くま)なく”などと様々に伝わっています。
当然のことですが、奉行として身体に入れ墨を入れるのはご法度であり、恐らく、ドラマのように“彫り物をお白州の場で披露する”ことなどはなかったと思われます。
お花見と言えば桜?その由来とは
日本における『お花見』の起源は、奈良時代頃の貴族の間で行われていた『梅』を鑑賞する行事だといわれています。
この習慣は、その当時に中国から梅が伝わったことが契機となり、宮中に広がったものと思われます。
しかし、平安時代になってからは、お花の対象は『桜』に変わってきました。
そのことを物語っているのは、奈良時代に編纂された『万葉集』には、桜を詠んだ歌が『43首』で梅を詠んだ歌が『110首』であります。
それが平安時代に編纂された『古今和歌集』になると、桜の歌が『70首』で梅の歌が『18首』と見事に逆転しています。
お花見の最も古い記録として残っているのは、812年(弘仁3年)に嵯峨天皇(さがてんのう)が催した『花宴の節(はなえんのせち)』といわれています。
嵯峨天皇は、ゆかりの神社に咲く桜がたいそう気に入り、毎年その神社から桜の花を献上させたことで、貴族の間にも急速に花見の習慣が広がり、そのことを契機に831年(天長8年)から、桜のお花見が“天皇主催の定例行事”として取り入られました。
これらの様子は源氏物語の『花の宴』にも描かれるくらいで、平安時代には“庭には花(桜)の木を植えるべし”とまで言われ、桜が庭造りの必需品になりました。
鎌倉・室町時代になると、貴族の花見の習慣が武士階級まで広がり、『徒然草(つれづれぐさ)』からも田舎の人たちが“花見の宴”を催している様子が窺えます。
安土桃山時代になると、『豊臣秀吉』が行った『吉野の花見』、『醍醐の花見』など野外でのお花見が盛んになっていた様子が、当時の資料や絵画などから判ります。
なお、庶民にまでお花見の習慣が広まったのは江戸時代といわれていて、桜の品種改良が盛んに行われました。
江戸で名高いのは、浅草にある『忍岡(しのぶがおか)』や『上野恩賜公園』の桜です。
因みに、1720年(享保5年)徳川吉宗が浅草の『隅田川堤』や王子の『飛鳥山(あすかやま)』に桜を植樹させ、庶民にも桜の花見を奨励しました。
日本の桜は何種類くらいあるの?
桜は、植物の中では『突然変異』が多いことで知られています。
花弁や雄蕊(おしべ)或いは色の変化、それ以外にも花の大小、実の多寡、などにその特徴がみられます。
また、品種改良や接ぎ木による変異の固定化などが試行されています。
西洋の場合は、“実の大きさや収穫量を増やす”ため、食品としての有用性を目的とした品種改良が盛んです。
一方、日本の場合は、花の“色や大きさや形状など”を変化させる品種改良や、“虫害への耐性、枝ぶり、木の高さ、寒暖への耐性”などを考慮した園芸品種造りに努力が払われています。
中でも『エドヒガンザクラ』、『ヤマザクラ』、『オオシマザクラ』などは、変性を起こし易い品種とされており、一般的にこれらを用いた品種改良が主流となっています。
“桜の代表格”である『ソメイヨシノ』は、野生種と自生種だけでも約100種類の桜が存在していることから、夫々の特徴を生かしながら交配が行われています。
そのため、現在では固有種と交配種を含めると、約600種類以上の品種が存在するともいわれています。
代表的な桜は?
日本に自生する桜の『基本種』は約10数種類ですが、野生化した品種や自然交配した品種を含めると約100種類程度に及ぶといわれています。
桜の基本種は、以下のようなものです。
(1)エドヒガン(江戸彼岸桜) (2)オオシマザクラ(大島桜) (3)オオヤマザクラ(大山桜) (4)カスミザクラ(霞桜) (5)カワヅザクラ(河津桜) (6)カンヒザクラ(寒緋桜) (7)タカネザクラ(高嶺桜) (8)チョウジザクラ(丁字桜) (9)ナラヤエザクラ(奈良八重桜) (10) マメザクラ(豆桜) (11) ミヤマザクラ(深山桜) (12) ヤマザクラ(山桜) |
むすび
桜といえば『ソメイヨシノ(染井吉野)』ですが、この桜は基本種ではなく『エドヒガン』と『オオシマザクラ』の交配種と考えられています。
ソメイヨシノの親であるエドヒガンは、全国各地に“古い巨木”が残っていて、山梨県、岐阜県、岩手県、山形県には『天然記念物』に指定されているものがあるそうなので、興味のある方は今年のお花見に出かけて見ては如何でしょう。